本校は、平成25年度から平成29年度までの5年間、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されました。
本校のSSH事業は、「国際社会で活躍できる自然科学系グローバル人材の育成 ー人と環境と産業の「共生」、学校と地域の「共生」を目指した教育課程を通してー 」の研究開発課題のもと、教科や総合的な学習の時間をはじめ、授業後の土日曜日にもさまざまな企画を精力的に取り入れてきました。その企画の一部は、本校生徒ばかりでなく、地域の中高生や教職員にも広く案内したほか、本校保護者へ紹介したものもあります。
平成27年度の主な実施内容は、次のとおりであります。
1知多で学ぶ
(1)サイエンスコミュニケーション
講演により世界の第一線で活躍する研究者の研究内容を聞き、自然科学に対する理解をより深め、関心を高めることによって、科学技術的能力を開発し、自然科学系人材を育成する。また、交流会で研究者と直接話をし、他の参加者の意見に耳を傾けることで、科学的思考力や判断力、傾聴する力を身につけることを目指す。全校希望生徒を対象。
2015/05/30 第1回講師:飯島澄男(名城大学教授・名古屋大学高等研究院特別招聘教授)
『見えないものをみる、そして発見―今、炭素材料がおもしろい―』
2015/07/18 第2回講師:上川内あづさ(名古屋大学大学院理学研究科教授)
『わかりやすく語る「脳研究の最前線」』
2015/09/26 第3回講師:杉山直(名古屋大学大学院理学研究科教授)
『暗黒の支配する宇宙』
2015/10/24 第4回講師:國枝秀世(名古屋大学大学院理学研究科教授)
『激動の宇宙を探る:X線天文学の挑戦』
2015/12/05 第5回講師:伊丹健一郎(名古屋大学トランスフォーマティブ生命研究所教授)
『異分野融合が引き出す分子のチカラ』
2016/01/09 第6回講師:戸本誠(名古屋大学大学院理学研究科准教授)
『巨大加速器LHCで探る誕生直後の宇宙』
2016/02/06 第7回講師:草野完也(名古屋大学太陽地球環境研究所教授)
『太陽環境と地球環境~我々が生きる宇宙の明日を予測するために~』
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SC飯島澄男先生 | SC上川内あづさ先生 | SC杉山直先生 |
(2)SSH記念講演会
自然科学の分野において国際的にも多大なる功績を残した研究者の講演を聞くことで、自然科学に対する興味や関心をより高め、理解を深める。また、科学者としての姿勢や生き方を学び、生徒自身が科学者を目指そうとする意識を持つための契機となることを目指す。全校生徒を対象。
第1部 講演会 講師 海部宣男(元国立天文台台長)
『宇宙に生命をさがす』
第2部 対談 海部宣男(元国立天文台台長)
杉山 直(名古屋大学大学院理学研究科教授)
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記念講演会海部宣男先生 |
(3)SSH生徒成果発表会
これまでの成果を振り返る機会とする。本校関係者のみならず、広く知多地区の中学校や高等学校関係者にも参加を募り、開かれた発表会とする。発表の生徒には、プレゼンテーション能力の習得を目指すとともに、学校の代表としての責任感を強く持たせ、将来のあらゆる場面において活躍できるための能力を身につけることを目的とする。
平成27年9月25日に、生徒成果発表会と題し、以下の6つの内容に分けて発表が行われた。
①3学年理科課題研究「知多で研究するⅡ」報告
②1学年総合的な学習の時間「知多を究める」報告
③「英語によるプレゼンテーション講座」報告
④平成26年度「英国海外研修」報告
⑤平成27年度「英国海外研修」参加予定生徒の研究発表
⑥本校SSH自然科学部の発表
また、会場では3学年「理科課題研究」のポスター発表も行われた。
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3学年理科課題研究報告 | 英語によるプレゼン講座報告 |
2国際的な発進力を育成する取組
(1)海外の高等学校との交流
理数教育において、日本国内だけではなく海外をフィールドに活躍できる若者の育成が必要とされている。本校でも教室の枠を超え、地球規模で物事を考えることができ、かつ、能動的に活動できる生徒を育成していくことを目的として実施している。
具体的には、先進的な実験施設が整っている英国ブライアンストン校との自然科学分野での交流(3/4~9、5名)に加え、今年度はタイ国マヒドン校でのサイエンスフェア(1/24~30、3名)に参加した。
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英国研修1 | 英国研修2 |
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タイ国研修 |
(2)英語によるプレゼンテーション講座
グローバルな視点を身につけることと、国際的な思考力・判断力・表現力をつけることを目的として、年間15回にわたり、1、2年生の希望者を対象に、日本福祉大学の小倉美津夫教授をお招きして、英語によるプレゼンテーション講座を行った。
3知多を究める
(1)第1学年 総合的な学習の時間「知多を究める」
人と自然環境、産業・科学技術が共生してきた知多半島で、自然科学系グローバル人材を育成するため、この地域の教育資産を活用した学習を実施する。郷土に対する誇りを持つこと、国際的な視点での思考力・判断力・表現力を身につけること、環境問題やエネルギー問題に関する知識を習得させ、自然科学に対する興味・関心をより向上させることを目的とする。
ア「わが市・わが町の紹介」調査研究及び発表
イ「SSH知多を知る講演会
福和伸夫(名古屋大学減災連携研究センター長)
福岡猛志(元日本福祉大学知多半島総合研究所長)
富田啓介(法政大学文学部地理学科助教)
4知多で研究する・市内連携
(1)第2学年理型 総合的な学習の時間「知多で研究するⅠ」
第1学年の「知多を知る」では、郷土が輩出した偉人をと知り、その人たちに続くよう視野を広げ、国際的な視点での思考力・判断力・表現力を身に付ける活動を行ってきた。それを受け、地域の企業と連携し、世界で認められた最先端の研究に触れることによって、一層高度な思考力・判断力・表現力を身につけ、自発的な探究ができるようになることを目的として行った。
テーマの例・・・凍結乾燥器、ガスクロマトグラフィー、融点測定装置、薬学部チーム、知多の水質、セミミクロケルダール窒素蒸留装置、校内の池、校内の植物、DNA、スパーク&O2・CO2センサー、知多の食品、スパーク、実験用レーザー光源装置、音波干渉実験器、太陽光発電システム、LEGOマインドストーム、ハイスピードカメラ、ロボット、地球、海水と淡水、数学の歴史を考えよう、折り紙などと数学、MathematicaでMaths
(2)第3学年理型 理科課題研究「知多で研究するⅡ」
昨年度実施している「知多で研究するⅠ」の継続であるが、研究テーマやグループは一部を除き一新し、新たな形でスタートすることにした。研究にかけられる時間が少ないにもかかわらず、昨年度の経験もあるせいか、自分たちで考えを出し合い、まとめていく力が発揮され、非常に優秀な研究成果も多く見られた。
テーマの例・・・The分析~純物質か混合物か~、比熱の研究、食品と化学、ハイスピードカメラ、重心運動、中和反応、海水と淡水、レーザー光源装置、各種センサー、細胞の全能性を調べる、生物がおこなうガス交換、校内の池、植物の種子、校内の植物、醸す文化、混合物の融点測定、蒸留、DNAが語るもの、太陽光発電システム、Arduino / Raspberry Pi
5スーパーサイエンス科目
国際社会で活躍できる自然科学系グローバル人材の育成のため、発展的な内容や教科横断的な内容を扱うため、各学年に対して以下の科目を設定し実施した。
第1学年
SSH公民、SSH数学Ⅰ、SSH自然探究Ⅰ(物理分野)、SSH自然探究Ⅰ(生物分野)、SSH英語Ⅰ
第2学年
SSH国語、SSH数学Ⅱ、SSH自然探究Ⅱ、SSH物理Ⅰ、SSH化学Ⅰ、SSH生物Ⅰ、SSH英語Ⅱ
第3学年
SSH国語、SSH数学Ⅲ、SSH物理Ⅱ、SSH化学Ⅱ、SSH生物Ⅱ、SSH英語Ⅲ
6SSH自然科学部
生徒が興味・関心に応じて選択した班(物理、生物、化学)で、各自が自覚と責任を持って連携しながら意欲的に活動をしている。SSH関連の研究発表会に参加したり、多くの著名な研究者たちの講演会を聞きに行くなどの今まででは得られなかった刺激や情報を入手することができ、各班で決めた研究テーマに対する疑問点を持ったり、解決方法を積極的に探したりすることもできるようになった。
月日 活動内容 参加者 活動場所
7月18日(土) SSH東海地区フェスタ2015 12名 名城大学
8月 4日(火) 平成27年度SSH生徒研究発表会 10名 インテックス大阪
~6日(木)
9月 5日(土) 学校祭「ひいらぎ祭} 15名 本校
6日(日)
10月29日(木) SSH生徒成果発表会 3名 本校
12月25日(金) 科学三昧inあいち2015 10名 岡崎コンファレンスセンター
1月24日(日) マヒドン校サイエンスフェア参加 2名 タイ国マヒドン校
~30日(土)
2月 7日(日) 高文連自然科学専門部発表会 10名 名古屋市科学館
3月 4日(金) ブライアンストン校との姉妹校連携業 5名 英国ブライアンストン校
~9日(水)
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