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スーパーサイエンスハイスクール(SSH)事業の平成29年度実施状況

スーパーサイエンスハイスクール事業について

 本校は、平成25年度から平成29年度までの5年間、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されました。
本校のSSH事業は、「国際社会で活躍できる自然科学系グローバル人材の育成 〜人と環境と産業の「共生」、学校と地域の「共生」を目指した教育課程を通して〜 」との研究開発課題のもと、教科や総合的な学習の時間をはじめ、授業後や土曜日などにもさまざまな企画を精力的に取り入れてきました。その企画の一部は、本校生徒ばかりでなく、地域の中高生や教職員にも広く案内したほか、本校保護者へ紹介したものもあります。
 平成29年度の主な実施内容は、次のとおりです。

1知多で学ぶ
(1)サイエンスコミュニケーション
  講演により世界の第一線で活躍する研究者の研究内容を聞き、自然科学に対する理解をより深め、関心を高めることによって、科学技術的能力を開発し、グローバルな視点をもった自然科学系人材の育成を目指す。
  また、交流会で研究者と直接話をし、他の参加者の意見に耳を傾けることで、科学的思考力や判断力、表現力を身につけることを目指す。地区の高校や中学校に呼びかけることで「知の拠点」として本校の役割を果たすことを目指す。

  2017/05/27 第1回講師:杉山 直(名古屋大学大学院理学研究科 教授)
        『暗黒の支配する宇宙』

  2017/07/29 第2回講師:飯島澄男(名城大学終身教授 教授)
        『科学は見ることから始まる ー カーボンナノチューブの発見』

  2017/11/18 第3回講師:上川内あづさ(名古屋大学大学院理学研究科 教授)
        『わかりやすく語る 脳研究の最前線 再び』

  2017/12/16 第4回講師:吉村 崇(名古屋大学トランスフォーマティブ生物分子研究所 教授)
        『生きものに学び、食と健康の未来を開拓する』

  2018/02/03 第5回講師:草野完也(名古屋大学宇宙地球環境研究所 教授)
        『太陽活動と地球環境〜我々が生きる宇宙の明日を予測するために〜』

 

(2)SSH記念講演会
  自然科学分野において、多大な功績を残している研究者の講演を聞くことで、科学に対する興味・関心を高め、科学者としての姿勢や生き方を学び、自分自身の進路を意識し、科学者を目指そうと考える人材を育成することを目指す。全校生徒を対象。本校教員、他校教員も参加。

  2017/10/26 講師 伊丹健一郎(名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所拠点長・教授)
         『世界を変える分子をめざして』
  伊丹先生は、合成化学を専門として研究を行われていて、2016年には「カーボンナノベルト」の合成に世界で初めて成功した世界的な科学者である。講演では、カーボンナノベルトなどが、人類の課題を解決する可能性や探求心を持ち続けることの大切さについてお話をいただいた。先進的な研究についてのお話であったため大変興味深く、多くの生徒から質問もあり、大盛況であった。  

 

(3)知多地区高校生フォーラム2017
  ア 目的 
    オーラルプレゼンテーションでは、各学年における総合的な学習時間での取組内容、英語によるプレゼンテーション講座や海外研修等を発表する。ポスターセッションでは理科課題研究で取り組んだ内容を発表する。それぞれ発表・質疑応答することで、高度な思考力、判断力、表現力が身につき、特に発表者は代表者としての責任感が養われることを目指す。サイエンスワークショップでは、グループで協力しながら1つの課題に取り組む活動を通して、主体的、協働的に学習する力を身に付けることを目指す。近隣の高校や大学との連携を通じて、創造性が養われるとともに、自然科学系人材の発掘に結びつくことを目指す。
  イ 開催の内容
   ①開催日 平成29年9月30日(土)9:00〜15:10
   ②会場 本校体育館、特別教室等
   ③日程・オーラルプレゼンテーション
      ・ポスターセッション・サイエンスワークショップⅠ
      ・ポスターセッション・サイエンスワークショップⅡ
   ④参加者 本校全生徒、本校教員、保護者、近隣中学生、近隣高校生、大学生、大学院生、引率教員、JST主任調査員、県教委指導主事、運営指導員、評価委員、指導大学教授

 

  ウ オーラルプレゼンテーション
   発表1 第1学年総合的な学習の時間「知多を究める〜探究入門〜」での取組内容について発表。
   発表2 昨年度の英語によるプレゼンテーション講座参加生徒による活動内容の報告と発表。
   発表3 昨年度の英国海外研修参加生徒による成果内容の報告。
   発表4 SSH課題研究交流会(一宮高校主催)の報告。
   発表5 SSH自然科学部参加生徒によるSSH生徒研究発表会(神戸)の活動報告。
   発表6 本年度のタイ国海外研修参加生徒による研究発表。

  エ ポスターセッション
   発表者 本校第3学年理型の生徒全員、知多地区の高校の自然科学部4グループの合わせて総計65グループ
   聴衆  本校生徒、保護者、近隣の中学・高校の生徒及び教員、教授、企業の研究員等

   

 

  ウ サイエンスワークショップ
   本校の第1・2学年の生徒全員が、予めクラス毎に約5人1グループを8班編制し、課題解決型テーマに協働的に取り組む。

分野テーマ概 要
1理科Aボタニカルハンター示された植物を校内で探し、結果を校内図に記入して植生分布図を作り上げる。
2理科Bホバークラフト選手権身近な道具を使ってホバークラフトを作成し、動かしてみる。
3数学A教室の高さを測ろう三角比を用いて教室の中にある物の高さ、教室の高さを測る。
4数学B必勝法を考えよう簡単な対人ゲームについて、最善の方法を考察する。
5情報アルゴリズム体験プログラミングの基本となる論理的思考をゲーム感覚で学びながら競う。
6英語(1年)KOMA BATTLE!与えられた素材だけで、最強のコマを作る。
 英語(2年)TWO CIRCLE ROLLER BATTLE!与えられた素材だけで、最強の転がる2枚円板を作る。
7国語(1年)みんなdeクロスワード制限時間内にクロスワードを作り、解き合う。
 国語(2年)国語deリアル脱出ゲーム突然タイムスリップした時代から、歴史上の人物や文学作品をヒントに脱出する。
8保健体育スポーツを作ろう新しいスポーツを考え、ポスターを作成して発表する。

 

 

2国際的な発進力を育成する取組
(1)SSH英国海外研修
  研修前に、自ら課題を発見し、調べ、考えるという体験をするとともに、相手校の協働的な授業を体験することで「自発的な姿勢」を養うことを目指す。また、他国の生徒と交流を深めることで、異文化を肌で感じ、今まで経験したきたものとは異なる学習環境に置かれることで、国際的な思考力、判断力、表現力を養うことを目指す。
 ア 実施概要
   日時:平成30年3月9日(金)〜3月13日(火)
   場所:ブライアンストン校(英国・ブランドフォード)
   参加生徒:5名(第1学年4名、第2学年1名)

 イ 研修内容
  ①訪問に向けた学習会
   オーラルプレゼンテーションを現地で行うため、スライド、原稿の準備を行った。発音、イントネーション、ジェスチャーなどを学習し、より良いプレゼンテーションになるよう準備した。
  ②共同実験の方法とオーラルプレゼンテーションの内容 
   生物班・・・「The Relationship between Regeneration of Planarias and Destiny Effect」プラナリアの自己再生能力と密度効果の関係性について実験を行い、考察や展望を含めて3人の生徒が英語で発表した。
   物理班・・・「Teketomboo」日本特有のおもちゃである「竹とんぼ」の性質について考察し、どうすれば、より高く・遠くへ飛ぶことができるかについて実験結果と考察を発表した。


 

(2)SSHタイ国海外研修
  自然科学分野において複数の国々の生徒と交流を行うことにより、多様な価値観の存在に気づき、お互いの意見や考えを尊重し合いながら物事を進めていく、国際的な視点を広げ思考力・判断力・表現力を養うことを目指す。また、海外で活躍する地元企業における研修や、発表体験を通して、自ら課題を発見し、調べ、考え、その課題を解決するという過程を経験させることで、自発的に探究する姿勢を養うことを目指す。
 ア 実施概要
   日時:平成30年1月24日(水)〜1月28日(日)
   場所:タイ・マヒドン校(MWITS)、タイ国際サイエンスフェア(TISF)2018、
      LIXIL Thailand and Rangsit工場
   参加生徒:3名
 イ 研修内容
  ①訪問に向けた準備
   サイエンスフェアでの発表に向けての準備とともに、英語プレゼンテーション講座への参加を通じて、英語によるコミュニケーション能力、プレザエンテーション能力の向上を図った。また、常滑市のLIXIL榎戸工場を見学し、タイにおける工場での研修に備えた。
  ②MWITSでの交流
  ・MWITS主催のTISF2018に参加し、ドイツ、オーストラリアなど海外から参加した高校生とセッションを行い、各自の研究成果を発表し、意見交換を行った。
  ・「Research into the influence of ions in seawater on plants’growth」の成果について、3人が1組となってポスター発表、口頭発表にも参加し。討議を行った。なお、発表や討議は全て英語で行われた。また、サイエンスフェア2018に先だって開催されたOpen Houseに参加し、他の国の生徒と科学的、文化的交流をすることでコミュニケーション能力の向上を図った。
  ・オーラルプレゼンテーションでは、パワーポイントを活用し、実験過程も視覚的に分かりやすく説明した。また、質疑応答では科学的に高度な質問内容に対しても、研究討論をすることができた。
  ・Closing Ceremonyでは、日本に関するクイズを出題し、食生活や言語、アニメに至るまで様々な視点から日本文化を紹介した。挙手をすることでクイズに参加してもらい、会場全体は大いに盛り上がった。

  ③LIXIL Thailand and Rangsit 工場での研修等
   「企業連携」をテーマとして(株)LIXILの国内工場で事前研修を行った上で、タイ国の現地工場にて現地研修を行い、ものづくり、生産技術、環境マネジメントなどに関する研修を通じて両工場の比較・検討を行った。

 

(3)英語によるプレゼンテーション
  国際世界で活躍できる生徒の育成をコンセプトに、日本福祉大学教授の小倉美津夫先生を講師としてお招きし、第1・2学年の33名の生徒が参加し、英語プレゼンテーションの手法を学んだ。

 第1回〜第4回 講義 プレゼンテーションとはどのような要素から構成されているのかを体系的に学んだ。同様に、英語の発音やわかりやすく相手に伝えるための有効な表現も学んだ。
 第5回〜第10回 実習 コンピュータでPower Pointを使い、TAから助言をもらいながら、全体発表に向けてスライドやスクリプトを作った。
 第11回〜第12回 発表会 グループ毎に発表し、相互評価をした。


3第1学年による総合的な学習の時間「知多を究める」知多を究める〜探究入門〜
 「知多を知る」で、郷土が輩出した偉人を知り、その人たちに続くように視野を広げ、国際的な視点での思考力・判断力・表現力を身につけることを目指す。また、自分の住む地区の自然、環境、地誌、文化を調べることで、郷土に対する誇りを持つとともに、自発的な探究活動ができる力を養うことを目指す。
(1)「知多を知る」基調講演
  『知多の風土・歴史・文化』 
   福岡猛志氏(前日本福祉大学知多半島総合研究所長)

(2)「我が市・我が町探究」
   調査・研究とクラス内発表

(3)「TOK(Theory of Knowledge)」入門
   国際バカロレアのDPの一つである「TOK」により、対話的かつ探究的な学習活動を効果的に付加し、コミュニケーション能力と表現力を高めることを目指す。

(4) 探究基礎講座
  答えが一つとは限らない問いに対して、様々にアプローチしていくことで、自らの力で探究、開発する力の育成を目指す。

   探究基礎講座一覧
   1 パラシュートを作ろう!
   2 あなたの知らない映画字幕の世界
   3 電子顕微鏡でのぞいてみよう
   4 新聞の広告、折り込みチラシから分かるもの
   5 名曲(ロック)誕生の背景
   6 他人に正しく情報を伝えるには
   7 試合を様々な方法で分析する
   8 地図を塗り分けるには何色必要?
   9 データの分析
   10 最短経路探索
   11 Welcome to Japan!! 外国人に日本のものを紹介しよう!
   12 この人にあった工夫した道具をデザインしよう
   13 英語クロスワードの研究開発
   14 ボールを遠くに投げられるようにしよう
   15 2020東京オリンピックを楽しむために
   16 身体のバランス


(5) 課題研究方法論Ⅰ
   課題研究の流れを理解した上で、課題発見能力、情報収集能力、情報統合力の能力の育成を目指す。

  第1回 課題研究方法論Ⅰ講座A 課題研究のステップと研究の倫理(講義、個人ワーク)
   第2回  同 上        情報の集め方と整理の仕方(講義、個人ワーク)
   第3回 課題研究方法論Ⅰ講座B パラグラフライティング(講義、個人ワーク)
   第4回  同 上         同 上
   第5回 課題研究方法論Ⅰ    研究するための準備①(講義、個人ワーク)
       冬休み 情報収集(個人ワーク)
   第6回 課題研究方法論Ⅰ    研究するための準備②(グループワーク) 


4第2学年総合的な学習の時間「知多で研究する㈵〜探究基礎〜」
 基礎的な探究手法を学ぶことで、科学的な思考力を高め、課題解決に対する探究能力を養うことを目指す。
 また、研究に自発性を取り入れることで、自然科学に対する理解をより深め、関心を高めることを目指す。本年度の変更点は次の4点。
 ア プログラムの対象を「第2学年理型選択者」から「第2学年全員」とした。
 イ 学年全体での実施に合わせ、学年団を中心とする21名の教員で担当した。これにより、様々な研究テーマに対して適切な指導・助言ができる体制が整った。
 ウ 1学期のプログラムを「パフォーマンス課題を通したプレ研究」から「研究の準備(テーマの決定と研究手法の習得)」へ変更。
 エ 3学期のプログラムを「研究のまとめの作成」から「研究の交流」中心へ変更

(1)学習指導年間計画
 1学期 課題研究Ⅰ 基調講演 『過去に学び現代を点検し将来の大震災に備える』
           名古屋大学 福和伸夫氏
     課題研究方法論Ⅱ

 2学期 課題研究Ⅰ 研究活動
     パラグラフライティング

 3学期 課題研究Ⅰ ポスターの制作
     ポスターセッション
     オーラルプレゼンテーション

(2)課題研究方法論Ⅱの講座一覧
  ・文献調査(国語)
  ・文献調査(歴史)
  ・文献調査(文理共通)
  ・アンケート調査の実施とデータ処理
  ・コンピュータを使ったデータ処理
  ・データ処理(数学)
  ・数学処理ソフトMathematicaの利用
  ・化学実験入門
  ・測定装置の取扱いⅠ(生物)
  ・測定装置の取扱いⅡ(物理)
  ・二次元フィールドにおける生物調査
  ・ハイスピードカメラを使おう
  ・プログラミング入門

5 第3学年理型による理科課題研究「知多で研究するⅡ〜探究発展〜」
 県内大学との連携により、創造的な能力や実践的な態度を養うことを目指す。自然科学に対する理解をより深め、研究に自発性を取り入れることで、より関心を高め、自然科学系人材の発掘を目指す。また、ルーブリックによる自己評価や知多地区高校生フォーラムにおけるポスターセッションを取り入れることで、思考・判断力・表現力を向上させることを目指す。
(1)研究活動
  本年度は61のテーマに分かれ、実験の見通しが立つまでグループ内でしっかり話し合い、その後、実験や観察に移行した。実験活動は、十分な実験時間を確保するため、5クラスを2つのグループに分け、曜日や時間が重ならないようにした。さらに、時間が不足する班には、業後や夏期休業期間に実験室を開放した。また、7月には、愛知教育大学の先生、学部生、大学院生に課題研究の内容や実験方法などについて指導・助言をいただいた。
(2)知多地区高校生フォーラム2017での発表
  第1・2学年や他校の生徒だけでなく、名古屋大学、愛知教育大学の先生方や学部生、大学院生にポスターセッションを聞いていただいた。研究内容や実験方法などに関して多岐にわたる質問をいただき、どの班も必要な実験器具やパネルなどを利用して、一生懸命応えていた。
(3)報告書の作成
  夏季休業から9月にかけて報告書の作成に取りかかった。その時点で、研究内容、仮説、結果、考察の一連の流れに関して自己評価シートを実施し、振り返りながら実験検証を行うことができた。各班が時間をかけて課題を発見し、実験内容に対して仮説を立て、実験計画を作る作業の重要性を、生徒用ルーブリックによる自己評価の様子から知ることができた。
  研究が早めに進み、まとめることができた2班については、7月15日に名城大学附属高校主催の「SSH東海フェスタ2017」や7月27日の一宮高校主催の「課題研究交流会」に参加した。

6学校設定科目
 国際社会で活躍できる自然科学系グローバル人材の育成のため、発展的な内容や教科横断的な内容を扱うために、以下の科目を設定し実施した。なお、学校設定科目以外にもアクティブ・ラーニングに関する研究授業を年間を通して行い、主体的。対話的で、深い学びを積極的に取り入れた。

記号科目名単位対象
ASSH公民※第1学年
ASSH数学Ⅰ※第1学年
ASSH自然探究Ⅰ※第1学年
ASSH英語Ⅰ※第1学年
    
BSSH数学Ⅱ第2学年理
BSSH自然探究Ⅱ※第2学年文
BSSH物理Ⅰ#第2学年理
BSSH化学Ⅰ第2学年理
BSSH生物Ⅰ#第2学年理
BSSH英語Ⅱ※第2学年
    
CSSH国語第3学年理
CSSH数学Ⅲ第3学年理
CSSH物理Ⅱ#第3学年理
CSSH化学Ⅱ第3学年理
CSSH生物Ⅱ※第3学年理
CSSH英語Ⅲ第3学年理
    
DSSH国語第1学年
    
ESSH文系情報第2学年文型
ESSH理系情報第2学年理型


 注A 25年度〜実施
  B 26年度〜実施
  C 27年度〜実施
  D 28年度〜実施
  E 29年度〜実施

 注※ 文理融合型科目として内容を研究開発する。
  # 一方を選択して履修する。

 



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